毎週同じ顧客を訪問し、同じ商品の発注数を確認する。新しい挑戦もなく、成長実感もない。「この先ずっとこのままなのか?」という焦りが積み重なっていませんか?
朝起きて「また今日も同じルートを回るのか」と思うと、気持ちが重くなる。上司からは「訪問件数を増やせ」と言われるけれど、訪問したところで話すことは毎回同じ。新規提案をしようにも、商品は本社が決めたものばかりで、自分の裁量で動かせる余地はほとんどない。
そんな日々の中で「自分は営業として成長しているのだろうか?」「このままでいいのだろうか?」という不安が、じわじわと心を侵食していく——。
でも、安心してください。「つまらない」と感じるのは、あなたの能力や努力不足ではありません。
ルート営業の多くは「ストック型ビジネスモデル」に分類され、安定性と引き換えに短期的な刺激や爆発的成果が得にくい構造になっています。つまり、「つまらない」と感じるのは、ビジネスモデルの構造的特性によるものなのです。
営業職は、顧客・商材・収益・プロセスという「4変数」で分類でき、それぞれに異なる特性があります。ルート営業は、その中でも「既存顧客」×「継続課金」というストック型の構造を持つため、新規開拓営業(フロー型)とは全く異なる性質を持っています。
✅ ルート営業(ストック型)が「つまらない」と感じる構造的要因を理解できる
✅ 今の環境で市場価値を高める4つの実践法がわかる
✅ フロー型営業(新規開拓)への転職リスクとギャップを知れる
✅ 営業タイプ別に「つまらなさ」の正体と対処法がわかる
✅ 続けるべきか・転職すべきかの判断基準が明確になる
「つまらない」という感覚は、実は成長の転換点です。この記事を通じて、ストック型営業の価値を再認識し、今の環境で市場価値を高める戦略を手に入れましょう。
なお、営業職全体を4変数×6タイプで理解したい方は、営業職大辞典 – 4変数×6タイプで理解する営業職の全体像をご覧ください。
なぜルート営業は「つまらない」と感じるのか?4つの構造的要因

「ルート営業がつまらない」——その感覚は、決してあなただけのものではありません。実は、ルート営業特有の「つまらなさ」には、ビジネスモデルに起因する4つの構造的要因があるのです。
ここでは、親記事で紹介した「4変数(顧客・商材・収益・プロセス)」とストック型ビジネスの構造を使って、「つまらなさ」の正体を分解していきます。
構造的要因①【収益モデル】ストック型の「安定性」が短期成果を見えにくくする
ルート営業の多くは、「ストック型収益モデル」に分類されます。これは、既存顧客からの継続課金や反復受注が収益の中心となるビジネスモデルです。
ストック型の特徴は、一度信頼関係ができれば頻繁な営業活動が不要になり、業務が仕組み化されていく点にあります。顧客との関係が安定すれば、毎月・毎週決まったタイミングで注文が入り、営業担当者はそれを「受け取る」だけで済むようになります。
一見すると効率的で楽に見えるこの構造が、実は「つまらなさ」の正体なのです。
業務がルーティン化しやすく、「狩猟型(ハンター)」のような刺激や短期的な爆発的成果を感じにくい。「今月はこれだけ売れた!」という達成感が得られず、日々の業務が「作業」のように感じられてしまうのです。
フロー型との対比で見る「成果の見え方」の違い
以下の表で、ストック型とフロー型の違いを整理してみましょう。
| 項目 | ストック型(ルート営業) | フロー型(新規開拓) |
|---|---|---|
| 収益構造 | 継続課金・反復受注 | 売り切り・単発契約 |
| 成果の見え方 | 長期的・積み上げ式 | 短期的・即時確定 |
| 刺激の度合い | 低い(安定重視) | 高い(毎月リセット) |
| 業務の特性 | ルーティン化しやすい | 常に新規開拓が必要 |
フロー型営業(不動産・証券・M&A仲介など)では、一件の契約が決まれば「今月は1,000万円の売上!」と即座に成果が見えます。一方、ストック型では「今月は既存顧客の発注数が5%増えた」という地味な変化にとどまり、自分の成果として実感しにくいのです。
具体例で見る「つまらなさ」の実態
- 食品メーカーのルート営業
毎週同じスーパーを訪問し、発注数を確認。数%の増減はあっても、それが「自分の営業力の成果」なのか「季節要因」なのか判別しづらく、達成感が湧かない。 - SaaSのカスタマーサクセス
解約率を0.5%改善することに成功したが、数字上の成果であり、日々の業務では「問題が起きないこと」が成果とされる。派手な達成感には結びつかない。
このように、ストック型の収益モデルは安定性と引き換えに、短期的な刺激を犠牲にする構造になっているのです。
構造的要因②【プロセス】一気通貫型の「ルーティン化」が挑戦機会を奪う
ルート営業は、営業プロセスとして「一気通貫型」が多いのが特徴です。つまり、顧客との接点から提案、受注、納品、アフターフォローまで、一人の営業担当者がすべて担当する形です。
一見すると、顧客との関係を深く築けるメリットがありますが、新規開拓がない場合は「同じ顧客・同じ業務の繰り返し」になりがちです。
The Model型との比較で見る「役割の多様性」の違い
近年、特にSaaS業界ではThe Model型と呼ばれる分業制の営業組織が増えています。これは、営業プロセスを「インサイドセールス(IS)→フィールドセールス(FS)→カスタマーサクセス(CS)」と分業する形です。
この分業制では、役割ごとに求められるスキルが異なり、昇格や異動による成長機会が豊富にあります。一方、ルート営業の一気通貫型では、役割の多様性が限定的になり、同じ業務を何年も続けることになりがちです。
「御用聞き営業」化のリスク
ルート営業の最大のリスクは、「御用聞き営業」化です。顧客との関係が安定しすぎると、「注文を聞くだけ」の存在になり、営業としての成長実感が止まってしまうのです。
顧客理解を深めやすいメリットはありますが、関係が安定しすぎると「営業」というより「物流調整係」や「注文受付係」のような感覚になってしまいます。
具体例で見る「ルーティン化」の実態
- 製造業のルート営業
10年間同じ取引先を担当。納期調整と在庫確認が中心業務で、「営業」というより「物流調整係」になっている。新しい挑戦がなく、成長実感がゼロ。 - 医薬品MR
同じ医師に同じ製品を説明し続ける日々。新薬発売がない限り、話題が尽きる。「また来たの?」という顔をされることも増え、モチベーション低下。
対処の方向性
- 分業型の営業組織(SaaS/IT系)への転職で、役割の多様性を得る
- 社内異動で新規開拓部門や企画職への道を探る
このように、一気通貫型の構造は「深い顧客理解」というメリットがある一方で、挑戦機会の減少というデメリットも抱えているのです。
構造的要因③【商材】有形商材の「機能差別化の限界」が提案力を発揮しにくくする
ルート営業で扱う商材は、「有形商材」であることが多いのが特徴です。食品・日用品・工業製品など、目に見える「モノ」を扱うケースですね。
有形商材の問題は、商品の機能差別化が難しい点にあります。特に成熟市場では、競合他社との違いが「価格」「納期」「既存の関係性」に集約されがちで、営業担当者の提案力が発揮しにくい構造になっています。
一方、無形商材(SaaS・コンサルティング・広告など)では、「営業力=商品価値」と言えるほど、営業担当者の提案力が商品の価値を左右します。ヒアリングから課題を引き出し、カスタマイズした提案をすることで、顧客に「この営業から買いたい」と思わせることができるのです。
しかし、有形商材では商品スペックが固定されており、営業の裁量が限定的です。結果として、「関係性維持」と「価格交渉」が業務の中心となり、営業としての成長実感が得にくくなります。
具体例で見る「提案余地のなさ」
- 化粧品メーカーのルート営業
商品スペックは本社のマーケティング部門が決定。営業の提案余地がほぼなく、「決まった商品を決まった店舗に納品する」だけの業務に。 - 飲料メーカーのルート営業
競合との価格競争が激しく、「安売り交渉係」になっている。「このドリンク、他社と何が違うんですか?」と聞かれても明確に答えられず、結局は価格勝負に。 - 工業製品商社のルート営業
「この部品、他社と何が違うんですか?」と聞かれても明確な差別化ポイントがなく、結局は「長年の取引関係」と「価格」で決まる。営業力を発揮する場面がほとんどない。
対処の方向性
- 無形商材(IT・人材・広告等)への転職で、提案力を活かせる環境へ
- 今の環境でも「顧客課題ヒアリング→本社への商品改善提案」ルートを作る
このように、有形商材の構造的な特性が、営業担当者の「提案力を発揮する機会」を奪っている側面があるのです。
構造的要因④【評価制度】ルート営業は「守りのKPI」が多く、攻めの成果が評価されにくい
ルート営業のKPI(重要業績評価指標)は、「守りの指標」が中心になりがちです。
具体的には、以下のような指標です。
- 訪問件数:何件訪問したか
- 既存顧客維持率:既存顧客が離脱していないか
- 解約防止:解約を防げたか
これらはいずれも「問題が起きないこと」を評価する指標であり、「攻め」の成果(新規開拓・大型案件受注)とは性質が異なります。
新規開拓営業であれば「今月は大型案件を3件受注!」という派手な成果が出ますが、ルート営業では「今月も解約ゼロ」「訪問件数100%達成」という地味な成果にとどまります。
「問題が起きないこと=成果」という見えない貢献が多いため、評価されにくい・昇給しにくい構造になっているのです。
具体例で見る「評価されにくさ」
- 人材派遣のルート営業
既存顧客の稼働継続率100%を維持しても「当たり前」とされ、昇格なし。一方、新規開拓部門は大型案件受注で社内表彰。 - 工業製品のルート営業
10年間同じ顧客を担当し続けたが、年収は新規開拓部門より100万円低い。「守り」の貢献が評価されない。 - SaaSのカスタマーサクセス
解約率を業界平均以下に抑えたが、フィールドセールスの大型受注の陰に隠れて評価されず。「問題が起きなかった」ことは成果として認識されにくい。
診断チェックリスト:あなたのルート営業は「つまらなさ」の典型か?
以下のチェックリストで、自分の状況を診断してみましょう。
| 項目 | YES/NO |
|---|---|
| 月次の成果が数値で見えにくい | ☑ |
| 新規提案の機会がほとんどない | ☑ |
| 商品の差別化ポイントを説明しづらい | ☑ |
| 評価基準が「訪問件数」「維持率」中心 | ☑ |
| 「問題が起きなかった」ことが成果とされる | ☑ |
→3つ以上該当なら、ストック型営業の典型的なジレンマに直面しています。
しかし、これは「あなたの能力不足」ではなく、ビジネスモデルの構造的な問題です。次の章では、この構造の中で市場価値を高める具体的な方法を解説します。
「御用聞き」から脱却。ストック型営業で市場価値を高める4つの実践法

「ルート営業がつまらない」と感じた時こそ、実は営業スタイルを進化させる絶好のチャンスです。
「つまらない」という感覚は、「今のやり方に限界を感じている」というサインでもあります。ここで安易に転職を選ぶのではなく、今の環境で市場価値を高める戦略を実践することで、キャリアの選択肢は大きく広がります。
この章では、ルート営業の枠内で「御用聞き営業」から脱却し、深耕営業へシフトする4つの実践法をご紹介します。
実践法①「深耕営業」へのシフト — LTV(顧客生涯価値)を最大化する
単に注文を受けるだけの「御用聞き営業」から脱却する第一歩は、深耕営業へのシフトです。
深耕営業とは、既存顧客の潜在的な課題に入り込み、取引拡大(アップセル・クロスセル)を狙う営業スタイルです。これは、SaaS業界のカスタマーサクセス(CS)にも通じる高度なスキルであり、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を目指す戦略です。
単に「今月の注文はいくらですか?」と聞くのではなく、「他部署で何か困っていることはありませんか?」「今後の事業計画で課題になりそうなことは?」と踏み込んでいくことで、「御用聞き」から「戦略的パートナー」へとポジションを転換できます。
具体的なアクション
深耕営業を実践するための具体的なアクションは、以下の3つです。
- 既存取引先の他部署の課題を聞き出す
例:製造部門の効率化、物流コスト削減、人手不足への対応など - 関連商品をセットで提案する
例:A商品を買っている顧客にB商品も提案し、取引額を拡大 - 顧客の年間予算サイクルを把握し、予算策定時期に先回り提案
例:「来期の予算策定は10月ですよね。今のうちに課題をヒアリングさせてください」
成功例で見る「深耕営業」の効果
- 食品メーカーのルート営業
スーパーの店長に「人手不足で品出しが追いつかない」という悩みをヒアリング→陳列しやすいパッケージの新商品を本社に提案→採用され、取引額20%増。店長から「あなたのおかげで助かった」と感謝の言葉。 - SaaSのカスタマーサクセス
既存顧客の利用状況をデータで分析し、未活用機能を提案→アップグレードプランへの移行率30%向上。「提案してくれてありがとう」と顧客満足度も向上。
市場価値向上のポイント
この「深耕営業スキル」は、SaaS業界のCS職や、事業会社の営業企画職への転職時に高く評価されます。「既存顧客から売上を最大化する能力」は、どの業界でも求められるスキルだからです。
「つまらない」と感じたら、まずは深耕営業へのシフトを試してみましょう。
実践法②データドリブンな提案 — 棚割り・POS分析で「売場コンサルタント」になる
特に消費財や小売向けのルート営業では、勘や経験だけでなく、POSデータやID-POS分析に基づいた「棚割り(プラノグラム)」提案が求められる時代になっています。
「何が売れたか」だけでなく「なぜ売れなかったか」をデータで示し、売場作りをコンサルティングすることで、単なる納品業者から「売場コンサルタント」へとポジションを変えることができます。
具体的なアクション
データドリブンな提案を実践するための具体的なアクションは、以下の3つです。
- 小売店のPOSデータを分析し、売れ筋商品と死に筋商品を可視化
例:Excelで売上データを集計し、ABC分析で優先商品を特定 - 「このゴンドラ、A商品とB商品を並べると相乗効果で売上10%増」といった提案
例:関連購買データを分析し、セット陳列を提案 - 季節・天候・イベントに応じた動的な棚割り提案
例:「猛暑日にはスポーツドリンクとアイスを目立つ場所に」といった提案
成功例で見る「データドリブン提案」の効果
- 飲料メーカーのルート営業
POSデータ分析で「猛暑日にスポーツドリンクとアイスが同時に売れる」傾向を発見→両方をエンド陳列で提案→売上15%増。店長から「データに基づいた提案は説得力がある」と高評価。 - 化粧品メーカーのルート営業
ID-POSで「30代女性が日焼け止めと美容液を同時購入」するデータを提示→セット陳列提案→客単価20%向上。「売場作りのプロ」として認識されるように。
学習リソース
データドリブンな提案力を身につけるための学習リソースをご紹介します。
- 書籍:『売れる売場のつくり方 – プラノグラム実践』など(要確認)
- オンライン講座:Udemy等でのExcelによるPOSデータ分析講座
市場価値向上のポイント
データ分析スキルは、マーケティング職や営業企画職への転職時に強力な武器になります。「勘と経験」ではなく「データに基づいた提案」ができる営業は、どの業界でも高く評価されます。
「つまらない」と感じたら、データ分析スキルを磨き、「売場コンサルタント」へと進化しましょう。
実践法③サプライチェーン調整 — 物流2024年問題への対応でコスト削減提案
現在、物流業界では「2024年問題」が大きな課題となっています。これは、ドライバーの時間外労働上限規制により、配送条件の見直しやリードタイムの延長交渉が急務となっている問題です。
単に商品を届けるだけでなく、物流コストの削減や納品頻度の最適化を顧客と交渉・調整する能力は、サプライチェーン全体を俯瞰する高度なスキルと言えます。
公的データで見る「2024年問題」の深刻さ
国土交通省の資料によると、「2024年以降、ドライバー不足により輸送能力が14%減少する見込み」とされています(要確認)。また、日本ロジスティクスシステム協会のデータでは「物流コストが企業利益を圧迫」している実態が報告されています(要確認)。
このような状況下で、物流コスト削減を提案できる営業は、顧客にとって非常に価値のあるパートナーとなります。
具体的なアクション
サプライチェーン調整を実践するための具体的なアクションは、以下の3つです。
- 顧客と「週3回配送→週2回配送」への変更交渉(在庫最適化も同時提案)
例:「配送頻度を減らす代わりに、発注ロットを最適化してコストを削減しましょう」 - 複数顧客への配送ルートを見直し、共同配送や混載便を提案してコスト削減
例:「A社とB社の配送ルートを統合すれば、配送コストが15%削減できます」 - リードタイム延長の代わりに、発注精度向上のためのデータ共有を提案
例:「納期を3日延ばす代わりに、需要予測データを共有して在庫切れリスクを減らしましょう」
成功例で見る「サプライチェーン調整」の効果
- 食品メーカーのルート営業
2024年問題を受け、顧客に「配送頻度を減らす代わりに、発注ロット最適化とコスト削減」を提案→物流費10%削減、顧客満足度向上。「物流の専門家」として認識されるように。 - 工業製品商社のルート営業
複数顧客への共同配送を提案→配送コスト15%削減。顧客から「物流コンサルタント」として評価され、他部署への紹介案件が増加。
市場価値向上のポイント
サプライチェーン最適化のスキルは、物流企画職やSCM(サプライチェーンマネジメント)職への転職時に高評価されます。単なる「営業」ではなく、「サプライチェーン全体を最適化できる人材」として認識されるようになります。
「つまらない」と感じたら、物流2024年問題を機に、サプライチェーン調整のスキルを磨きましょう。
実践法④顧客の声を本社にフィードバック — 商品開発・改善提案の起点になる
ルート営業は、顧客に最も近い存在です。この強みを活かし、顧客の「困りごと」「改善要望」を収集して本社の商品開発部門にフィードバックすることで、商品改善の起点になることができます。
単なる「注文を受ける営業」から、「顧客インサイト収集のプロ」へとポジションを転換するのです。
具体的なアクション
顧客の声フィードバックを実践するための具体的なアクションは、以下の3つです。
- 顧客との雑談から「困りごと」「不満」を収集
例:「最近、何か困っていることはありませんか?」「この商品で改善してほしい点は?」 - 月次で本社に「顧客の声レポート」を提出(要望ランキング付き)
例:「今月の顧客要望トップ3は、①小分けサイズ、②納期短縮、③価格改善です」 - 商品改善・新商品開発への貢献を実績化し、社内評価を得る
例:「顧客の声をもとに新商品を開発し、売上10%増に貢献しました」
成功例で見る「顧客の声フィードバック」の効果
- 食品メーカーのルート営業
顧客の「もっと小分けサイズが欲しい」という要望を本社に提案→新商品化→売上10%増。社内表彰を受け、「顧客の声を起点とした商品開発」の事例として評価。 - SaaSのカスタマーサクセス
顧客の「この機能が使いづらい」という声をプロダクト部門にフィードバック→UI改善→解約率0.8%削減。「顧客の声を拾い上げるプロ」として社内評価向上。
市場価値向上のポイント
「顧客の声を起点とした商品開発」スキルは、プロダクトマネージャーや事業企画職への転職時に高く評価されます。「営業」という枠を超えて、「事業全体を動かせる人材」として認識されるようになります。
「つまらない」と感じたら、顧客の声を本社にフィードバックし、商品改善の起点になりましょう。
「フロー型営業(新規開拓)」へ転職する前に知っておくべきギャップと落とし穴


ルート営業がつまらない。刺激が欲しい。新規開拓営業に転職しよう!



そんな風に考えていませんか?
確かに、新規開拓営業(フロー型営業)は、毎月新しい顧客と出会い、大型案件を受注する達成感があります。しかし、「刺激が欲しい」という理由だけで転職するのは、大きなリスクがあります。
この章では、フロー型営業(不動産・証券・M&A仲介など)への転職を考える前に、必ず知っておくべき構造的なギャップと落とし穴を解説します。
ギャップ①収益の不安定さと精神的負荷 — 毎月売上がリセットされるプレッシャー
フロー型ビジネス(不動産販売・証券・M&A仲介など)は、一回の販売で収益が確定する「売り切り型」です。
これは、一見すると「一件決まれば大きな成果!」と魅力的に見えますが、裏を返せば毎月売上がリセットされるということです。
先月1,000万円の契約を取ったとしても、今月はゼロからスタート。常に新規顧客を探し続けるプレッシャーにさらされることになります。
「断られることが前提」の営業スタイル
新規開拓営業では、テレアポや飛び込み営業が日常です。そして、9割は断られるのが当たり前の世界です。
ルート営業では、既に信頼関係のある顧客と接するため、「断られる」ことは少ないですよね。しかし、フロー型営業では「断られることが前提」であり、ルート営業とは異なる精神的タフさが求められます。
具体例で見る「収益の不安定さ」
- 不動産営業に転職したケース
先月は1,000万円の契約を取ったが、今月はゼロ。毎月リセットされる恐怖に耐えられず、3ヶ月で退職。「ルート営業の安定性が恋しい」と後悔。 - 証券営業に転職したケース
富裕層に金融商品を提案するが、9割は断られる。ルート営業時代の「顧客との信頼関係」が通用せず、メンタル崩壊。1年で退職し、再びルート営業へ戻る。
公的データで見る「離職率の高さ」
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、不動産・金融営業の離職率は他業種と比較して高い傾向にあります(要確認)。また、リクルートワークス研究所の「営業職の就業満足度調査」でも、フロー型営業の精神的負荷の高さが指摘されています(要確認)。
落とし穴:「刺激が欲しい」だけで転職するリスク
「刺激が欲しい」という理由だけで転職すると、収入の不安定さと精神的負荷に耐えられず、短期離職のリスクが高まります。
「つまらない」と感じる気持ちは理解できますが、フロー型営業のリアルな負荷を理解した上で判断することが重要です。
ギャップ②求められるスキルの違い — 信頼構築(農耕型)vs 即決力(狩猟型)
ルート営業とフロー型営業では、求められるスキルが根本的に異なります。
ルート営業は「信頼関係の維持・深化(農耕型)」が評価されます。じっくりと顧客と向き合い、長期的な関係を築くスタイルです。
一方、フロー型営業は短期間で相手の懐に入り、即決を促す「クロージング力(狩猟型)」が最重要視されます。
スキル比較表で見る「農耕型 vs 狩猟型」
| スキル項目 | ストック型(ルート営業) | フロー型(新規開拓) |
|---|---|---|
| 重視されるスキル | 信頼関係維持・深耕営業 | 初対面での信頼獲得・即決クロージング |
| 顧客との関係性 | 長期的(数年〜数十年) | 短期的(数週間〜数ヶ月) |
| 営業スタイル | 農耕型(じっくり育てる) | 狩猟型(短期で仕留める) |
| 精神的負荷 | 低〜中(安定重視) | 高(常に新規開拓) |
具体例で見る「スキルのミスマッチ」
- 食品メーカーのルート営業から不動産営業へ転職したケース
「顧客を長く大切にする」スタイルが染み付いており、「今日契約してください」と迫れず、成約率低迷。上司から「もっと強引に押せ」と言われ、ストレスで退職。 - 人材派遣のルート営業から人材紹介(新規開拓)へ転職したケース
「じっくりヒアリングして最適な人材を」というスタイルが通用せず、「早く紹介して」と急かされストレス。「自分には合わない」と感じ、半年で退職。
落とし穴:自分の営業スタイルを自己分析せずに転職するリスク
自分の営業スタイルが「農耕型」か「狩猟型」か自己分析せずに転職すると、ミスマッチで短期離職のリスクが高まります。
「刺激が欲しい」という気持ちは理解できますが、自分の適性を見極めた上で判断することが重要です。
ギャップ③顧客との関係性の違い — 長期パートナー vs 単発取引
ルート営業では、長期的な信頼関係が資産となります。「顧客に感謝される」「顧客の成長を見守れる」というやりがいがあります。
一方、フロー型営業は単発取引が中心です。契約後は別の顧客へ移り、「売ったら終わり」の感覚になります。
具体例で見る「関係性の違い」
- 製造業のルート営業のケース
10年担当した顧客から「あなたのおかげで会社が成長した」と感謝され、やりがいを実感。定年退職時には顧客から感謝の手紙をもらい、涙。 - 不動産営業のケース
契約後は別の顧客へ。「売ったら終わり」の感覚に違和感。「もっと長く顧客と付き合いたい」と感じ、ルート営業への転職を検討。
落とし穴:「顧客との長期的な関係」に価値を感じる人がフロー型に転職するリスク
「顧客との長期的な関係」に価値を感じる人がフロー型に転職すると、「やりがい喪失」のリスクがあります。
自分が何にやりがいを感じるのか、しっかりと自己分析した上で転職を判断しましょう。
ルート営業タイプ別「つまらなさ」の正体と対処法


一口に「ルート営業」と言っても、実は扱う商材や業界によって「つまらなさ」の正体は異なります。
親記事で紹介した「6タイプ分類」のうち、ルート営業が多いのは以下の3タイプです。
この章では、タイプ別に「つまらなさ」の正体と対処法を解説します。
Type3(サプライチェーン型)のルート営業 — 納期調整ばかりで提案余地がない
Type3(サプライチェーン型)は、メーカー・商社の有形商材ルート営業が該当します。
「つまらなさ」の正体
- 物流・納期調整が業務の中心で、戦略的な提案機会が少ない
- 「御用聞き営業」に陥りやすく、自己成長実感が得にくい
- 商品スペックは本社が決定し、営業の裁量がほぼゼロ
具体例で見る「つまらなさ」
- 食品メーカーのルート営業
毎週同じスーパーを訪問し、発注数を確認。新商品提案も本社主導で、営業の裁量ゼロ。「自分は何をしているんだろう」と虚しさを感じる。 - 工業製品商社のルート営業
納期遅延のクレーム対応に追われ、「営業」というより「物流調整係」。新しいスキルが身につかず、将来が不安。
対処法:第2章の実践法を活用しよう
Type3のルート営業が「つまらなさ」から脱却するには、以下の実践法が有効です。
- 実践法③サプライチェーン調整で物流コスト削減提案
物流2024年問題を機に、配送頻度最適化や共同配送を提案し、「物流コンサルタント」へとポジション転換。 - 実践法②データドリブンな提案でPOS分析に基づく売場提案
POSデータを分析し、棚割り最適化を提案。「売場コンサルタント」として認識されるように。
親記事Aへの誘導
Type3の全体像をもっと詳しく知りたい方は、営業職大辞典 – Type3サプライチェーン型をご覧ください。
Type5(リテール・フィールド型)のルート営業 — 店舗巡回の単調さと肉体疲労
Type5(リテール・フィールド型)は、消費財メーカー・医薬品MRの店舗・医療機関巡回が該当します。
「つまらなさ」の正体
- 移動時間が長く、同じ説明を繰り返す単調さ
- 成果が「陳列棚の位置」「POPの設置」など、地味で評価されにくい
- 肉体的疲労が蓄積し、モチベーション低下
具体例で見る「つまらなさ」
- 飲料メーカーのラウンダー営業
毎日20店舗を巡回し、商品補充と陳列整理。「営業」というより「店舗作業員」の気分。新しいスキルが身につかず、将来が不安。 - 医薬品MR
毎日同じ医師に同じ製品を説明。医師の反応も「いつものやつね」で終わり、達成感ゼロ。新薬発売がない限り、話題が尽きる。
対処法:データと深耕営業でポジション転換
Type5のルート営業が「つまらなさ」から脱却するには、以下の実践法が有効です。
- 実践法②データドリブンな提案で棚割り最適化提案
POSデータを分析し、「この陳列なら売上15%増」といった提案を行い、「売場コンサルタント」へとポジション転換。 - 実践法①深耕営業で店長との関係を深め、カテゴリー全体の売上向上提案
店長の課題をヒアリングし、「人手不足」「品出し効率」などの悩みに応える提案を行う。
Type1(デジタル・サブスク型)のルート営業 — カスタマーサクセスの「見えない成果」
Type1(デジタル・サブスク型)は、SaaS/IT業界のカスタマーサクセス(CS)が該当します。
「つまらなさ」の正体
- 解約防止・アップセルが主業務だが、成果が数値化されにくい
- 「問題が起きないこと=成果」という構造で、達成感を得にくい
- フィールドセールスの大型受注が社内で称賛される一方、CSの地道な貢献は評価されにくい
具体例で見る「つまらなさ」
- SaaSのカスタマーサクセス
既存顧客のオンボーディングと活用支援を担当。解約率0.5%削減に貢献したが、「当たり前」とされ評価なし。FSの大型受注が社内で称賛される一方、CSの地道な解約防止は評価されず。
対処法:アップセルと顧客の声フィードバックで社内評価を獲得
Type1のルート営業が「つまらなさ」から脱却するには、以下の実践法が有効です。
- 実践法①深耕営業でアップセル・クロスセルを強化
既存顧客の利用状況を分析し、未活用機能を提案してアップグレードプランへ移行させる。「売上を生み出すCS」として評価される。 - 実践法④顧客の声フィードバックでプロダクト改善に貢献し、社内評価を得る
顧客の「この機能が使いづらい」をプロダクト部門にフィードバック→UI改善→解約率削減。「顧客の声を起点とした改善」の事例として評価される。
「続ける」か「転職する」か?自己診断3つの基準


ここまで読んで、あなたはどう感じましたか?
「今の環境で実践法を試してみよう」と思った方もいれば、「やはり転職を検討したい」と思った方もいるでしょう。
この章では、「続けるべきか・転職すべきか」を自己判断できる3つの明確な基準を提示します。
基準①スキルのポータビリティ — 他社でも通用するスキルが身についているか?
まず最初に確認すべきは、「今の仕事で身につけたスキルが、他社でも通用するか?」という点です。
ルート営業で身につくスキルは「顧客関係構築力」「調整力」が中心です。しかし、業界特化型のスキル(商品知識・業界人脈)は転職市場で評価されにくいのが現実です。
一方、汎用スキル(データ分析・提案力・交渉力)が身についていれば、転職市場で有利に戦えます。
自己診断チェックリスト
以下のチェックリストで、自分のスキルのポータビリティを診断してみましょう。
| 項目 | YES/NO |
|---|---|
| データ分析(Excel・BIツール)スキルが身についた | ☐ |
| 顧客課題ヒアリング→提案の経験がある | ☐ |
| 社内外のプレゼン経験が豊富 | ☐ |
| 業界外でも通用する営業手法を実践している | ☐ |
| サプライチェーン最適化やコスト削減提案の経験がある | ☐ |
→3つ以上YESなら、転職市場で勝負できます。
もし1〜2個しかYESがない場合は、まず今の環境で第2章の実践法を試し、スキルを磨いてから転職を検討しましょう。
基準②環境のコントロール可能性 — 今の会社で状況を変えられるか?
次に確認すべきは、「今の会社で状況を変えられるか?」という点です。
「つまらない」の原因が会社の構造的問題なら、個人の努力では変えられません。その場合は、転職を検討するのが現実的です。
一方、社内異動や新規事業への配置転換の可能性があるなら、まずはそちらを探ってみる価値があります。
コントロール不能のサイン
以下のようなサインが見られる場合、今の会社で状況を変えるのは難しいと判断できます。
- 新規提案を上司に却下され続ける
- 社内に新規開拓部門や企画職のポジションがない
- 会社全体が縮小・衰退業界で、成長機会がない
このような状況にある場合は、転職を前向きに検討すべきでしょう。
基準③心身の健康状態 — 「つまらない」が「しんどい」に変わっていないか?
最後に、そして最も重要なのが、「心身の健康状態」です。
「つまらない」という感覚は、まだ改善の余地があります。しかし、それが「しんどい」「辞めたい」に変わっている場合、早急に環境を変えるべきサインです。
レッドラインチェック
以下のチェックリストで、自分の心身の状態を確認してみましょう。
| 症状 | YES/NO |
|---|---|
| 日曜夜に強い憂鬱感がある | ☐ |
| 朝起きられない・会社に行きたくない日が週3以上 | ☐ |
| 仕事のことを考えると動悸・めまいがする | ☐ |
| 「このまま続けたら壊れる」と感じる | ☐ |
→1つでもYESなら、環境を変える決断を。
心身の健康は何よりも大切です。「もう少し頑張れば」と無理をすると、取り返しのつかないことになります。自分の心と体の声に耳を傾けましょう。


まとめ:ルートセールスは「つまらない」は成長の転換点
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を通じて、「ルート営業がつまらない」のは、あなたの能力不足ではなく、ストック型ビジネスモデルの構造的特性によるものだとご理解いただけたのではないでしょうか。
この記事の要点を振り返り



改めて、この記事の要点を整理しましょう。
✅ ルート営業が「つまらない」のは、ストック型ビジネスモデルの構造的特性
収益モデル・プロセス・商材・評価制度の4つの構造的要因により、短期的な刺激や達成感が得にくい。
✅ 「御用聞き営業」から脱却し、市場価値を高める4つの実践法
深耕営業・データドリブンな提案・サプライチェーン調整・顧客の声フィードバック——これらを実践することで、今の環境でも市場価値を高められる。
✅ 安易なフロー型転職はギャップとリスクを理解すべき
「刺激が欲しい」だけで転職すると、収益の不安定さ・精神的負荷・スキルのミスマッチに苦しむリスクがある。
✅ 自己診断3つの基準で「続ける」か「転職する」かを判断
スキルのポータビリティ・環境のコントロール可能性・心身の健康状態——この3つを基準に、冷静に判断しよう。
読者の皆さんへ、エールを込めて
「つまらない」と感じることは、決して悪いことではありません。それは、成長の転換点を迎えているサインです。
今の環境で市場価値を高める戦略を実践すれば、キャリアは必ず広がります。深耕営業・データ分析・サプライチェーン最適化——これらのスキルは、どの業界でも高く評価されます。
もちろん、心身の健康が最優先です。「しんどい」「壊れそう」と感じたら、無理せず環境を変える決断をしてください。
あなたのキャリアは、あなた自身が切り拓くものです。「つまらない」という感覚を成長の起点に変え、前に進んでいきましょう。
関連記事で理解を深めよう
営業職全体の構造をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
- 営業職大辞典 – 4変数×6タイプで理解する営業職の全体像
親記事Aで、営業職を「顧客・商材・収益・プロセス」の4変数で体系的に理解できます。 - 業界別営業職ガイド
業界別の営業職の特徴を知りたい方は、こちらをどうぞ。









コメント