この記事のアイキャッチ画像は無料エディタで作成しています。
「これ、いつかやろう」と思って、結局やらなかったこと、ありませんか。
私はあります。たくさん——というか、思い出せないくらいたくさんあります。
本気で記憶を辿っても、ぱっと出てこない。「あの時、本を読もうと思っていたな」「あの勉強、始めようとしていたな」みたいに、輪郭がぼんやりしている。先送りしたこと自体を、もう覚えていないんですよね。
これって、けっこう怖いことだなと感じています。
緊急度も重要度も低いタスクが、いつまでも残り続ける

私の日々のタスクリストには、いつも「すぐにやらなくてもいい、でもいつかやった方がいいこと」がずらりと残っています。
「あの本を読む」「あの記事を読み返す」「あのアンケートに答える」——緊急度も重要度も低い、いわゆる第4象限にあたるものたち。何日経っても、何週間経っても、ずっと消えずに残っている。
特にアンケート類は、毎回期日ギリギリで「申し訳ない…」と思いながら回答することが多くて、これは本当に直したいクセです。
やれば5分で終わることを、なぜ私たちは何週間も寝かせてしまうのか。
「明日に先伸ばした自分」は、きっと明日も先伸ばす

これ、「意志の弱さ」というより、人間の脳に組み込まれたクセらしいんです。
行動経済学では「現在バイアス」と呼ばれていて、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーらが応用研究を進めてきた領域です。簡単に言うと——
私たちは、未来の自分を、今の自分より理性的で忍耐強いと過大評価する。
「明日の自分なら、ちゃんと時間を作ってやれるはず」「来週の自分なら、もう少し落ち着いて片付けられるはず」と無意識に思い込む。でも実際は、明日の自分も来週の自分も、同じ自分なんですよね。
データで見る「動きたいけど動けない」日本人

これ、データでも見えてきます。
マイナビ「転職動向調査2025年版(2024年実績)」によれば、直近1年間に転職活動を行った人のうち、「必ず転職したい」と答えた人は28.5%にとどまります。一方、「いい会社が見つかれば転職したい」が56.9%、「いざとなった時の転職先が見つかればいい」が9.4%、「無理に転職しなくてもいい」が5.2%。
つまり、転職活動を始めた人ですら、約7割は『条件次第』『いざという時に備えて』というスタンス。実際に転職にまで至るのは、その中の一部です。
「気になる」と「動く」の間には、思っているより深い溝があるんですよね。
先伸ばしを乗り越えるマイルール「5分ルール」と「川上ルール」

じゃあ、どうしているのか。私自身、地味だけど続けている工夫が2つあります。
1つ目:5分以内で終わることは、その場で即やる
「あとで」と思った瞬間に、未来の自分への負債になります。5分で終わるならその場で片付ける。メッセージへの返信、軽い入力、ちょっとした確認。これだけで、タスクリストの肥大化がだいぶ抑えられます。
2つ目:自分が”川上”にいる時は、優先的に動く
仕事のフローで、自分が判断しないと相手が待ち状態になる時——いわゆる「自分が川上にいる」状態。この時は迷わず動きます。ボールを相手に渡せば、全体が前に進むので、自分が止めるとプロジェクト全体が遅延してしまうから。
逆に、相手の全体工数がかかりそうなものは、ちゃんと時間を取ってから渡す。雑な依頼で相手の時間を奪うのは違うと思っているので、ここは丁寧に。
「気になった瞬間」を、少しだけ信じてみる

完璧な対策じゃないんですよね、これ。私自身、いまだに先送りしているものはたくさんあります。
でも、「気になった瞬間」が、唯一バイアスが弱まる時間なのかもしれない、と最近は思っています。気になっているということは、判断に必要な情報が頭の中で動いている状態。これが24時間経つと、別の情報で上書きされて、もう同じ重みでは考えられなくなる。
だから、気になった今を、少しだけ信じてみる。「あとで」と思った瞬間に、5分で済むことなら今やってしまう。判断材料が揃っているのは、たぶん「今」しかないので。
未来の自分は、思っているより、忍耐強くも理性的でもありません。でも、今の自分なら、少しだけ動ける——そう信じてみることが、先送りの連鎖をほどく一番のスタートなのかなと感じています。
引用元・参考文献
- マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2025年版(2024年実績)」(2025年3月公表)公式ページ
- O’Donoghue, T., & Rabin, M. (1999). “Doing It Now or Later.” American Economic Review, 89(1), 103-124.
- Thaler, R. H. (2017). Nobel Memorial Prize in Economic Sciences for contributions to behavioral economics.








コメント